令和7年度 団長 中野 清志さん
令和8年度 団長 堀井 大輔さん

入団のきっかけと、地域の思い出

- おふたりの入団のきっかけを教えてください。

中野さん:地元の野球チームやお祭りの青年団で知り合った先輩方から声をかけてもらったのがきっかけで、平成元年に入団しました。
自宅の近くに詰所もありましたし、消防団が火災に出動している様子も見ていたので、消防団はもともと身近な存在でしたね。

堀井さん:私も地元の仲の良い先輩に誘われました。ある日家に帰ったら、すでに法被(はっぴ)が置いてあったんです(笑)。消防団の存在自体は知っていて、地域を守る活動をしているという話も聞いていました。

- これまでおふたりが消防団を続けてこられた理由は、どんなところにあると思いますか?

中野さん:先輩とも後輩とも自然とコミュニケーションが取れていたことが大きいですね。
雰囲気が和やかで、みんなで楽しく活動できたので、嫌だなと感じることがなかったんです。

堀井さん:私は塩尻で生まれ育ってきたので、断る理由がなかったというのが正直なところです。この地域にいるから、自然に続けてこられました。
ただ、若い頃はそこまで積極的に活動に参加していたわけではありませんでした。20代後半くらいから、地元の先輩たちと詰所に集まって、ワイワイ話す時間が楽しくなってきて、そこから消防団の活動にだんだんと関わるようになりました。

令和8年時団長となる堀井大輔さん
令和8年時団長となる堀井大輔さん

- 消防団に入って良かったと感じることはありますか?

中野さん:やはり、地域の人たちと深くつながれたことですね。地域の中で自分の役割を持つことで、さまざまな年代の方と自然に仲良くなれました。普通に生活していたら、なかなか出会えなかった人たちだと思います。今は飲み会も少なくなりましたが、正直、私は飲み会が一番楽しかったですね(笑)。やっぱり、つながりが一番だと思います。

堀井さん:私も同じで、人とのつながりが一番大きいですね。地域で顔の見える人たちがいて、同じ目的を持って活動するなかで、仲間意識が生まれるのが、消防団の良さだと思います。

令和7年時団長の中野清志さん
令和7年時団長の中野清志さん

- 塩尻らしい雰囲気のなか、人の力がまとまる

- 全国にある消防団。消防団のすごいところは、どのようなところにあると思いますか?

中野さん:いざってときに、集まれる、集まってくれること。人の力っていうはすごいなと思いますね。これまでに、さまざまな火災や災害で被害を抑えることができました。
たとえば令和3年にあった塩嶺王城付近の山林火災。そのときには、塩尻や諏訪、岡谷の消防団が一緒になって消火にあたりました。消火に使える水利が近くになかったので、ホースを各分団から100本以上集めて、山の下部から上部へと水を運びました。途中でポンプ車に何台か繋げながら、水を上へ上へと、上げていく必要がありました。
夕方だったので、団員それぞれの仕事などもあって、大変だったとは思いますが集まっていただいたんです。一歩間違えれば、もっと大きな山火事になっていたと思います。

堀井さん:消防署員の方からも「消防団の存在は心強い」と言われています。平成28年12月の新潟糸魚川や令和7年11月の大分佐賀関のような大きな火事が起きてしまえば、消防署員だけで消すのは難しいかもしれません。

中野さん:塩尻も、洗馬宿や塩尻宿、奈良井宿などいろんな宿場があって、1つ火事になれば横に燃え移ってしまうような、そういう構造ですよね。周辺自治体と違って、より注意しなくてはならない。団員の力を借りないといけない部分は相当あると思うんです。

人が集まることで、大きな力を発揮できます
人が集まることで、大きな力を発揮できます

- 地域に欠かせない塩尻市消防団。塩尻市消防団らしさは、どのようなところにあると思いますか?

中野さん:団全体に強いまとまりがある印象を持っています。諸先輩方が長年かけて築き、受け継いできた指示系統がしっかりしているので、なにか行動を起こすときには全体が一つになって動けます。出動時にも的確に指示が入るため、団員同士が連携しやすく、安全を確保しながら活動できていると思います。

堀井さん:私も、塩尻全体で指示系統がとても整っている印象があります。分団長や部長の皆さんが、本団からの意図をしっかりくみ取って理解してくれていると感じますね。

中野さん:昔は本団がすべてを取り仕切る雰囲気が強かったと思います。しかし今は、三役に関係なく、全体でバランスよく運営できていると感じています。

堀井さん:本当にそうですね。こちらが聞けばきちんと答えてくれますし、逆に下の世代から意見を出してくれる場面も増えてきました。上の立場の人間が間違っていることを、きちんと指摘してもらえるのは、とても良いことだと思います。

「みんなの意見を受け取りたいですね」と堀井さん
「みんなの意見を受け取りたいですね」と堀井さん

- 下の世代からの意見も重要なのでしょうか。

中野さん:やはり現場が一番状況を分かっていますので、現場の声をしっかり吸い上げていく姿勢が大切だと思います。私たちは「目線を下げる」ことも意識していかないといけません。

堀井さん:若い団員には「こんなことをやってみたい」という思いを、遠慮せずに伝えてもらいたいと思っています。今の若い世代ならではの考えや感覚は、きっとたくさんあるはずです。それを消防団の活動に生かしていけたら、さらに良い組織になっていくと思います。

中野さん:そして、上に立つ人間が良い雰囲気でいることも大事だと思います。そうでなければ、「この人についていこう」とはなかなか思ってもらえないのではないでしょうか。

「安全に確実に活動してもらうために、私たちが信頼してもらわなくては」と中野さん
「安全に確実に活動してもらうために、私たちが信頼してもらわなくては」と中野さん

次の世代へ。さらに輝く消防団

- 今後、消防団として力を入れていきたいことは何でしょうか。

中野さん:「消防団って、こんな活動をしているんだよ」ということを、もっと発信していきたいですね。まだ活動内容が十分に知られていませんし、残念ながら「呑んでいるだけ」というイメージを持たれている方もいるかもしれません。だからこそ、実際の活動を正しく伝えていくことが大切だと思っています。

堀井さん:団員一人ひとりに、自分たちの活動を誇りに思ってもらえるよう、伝えていきたいです。近年は広報活動にも力を入れていて、インスタグラムでの発信や団員募集インタビュー動画の制作、「しおじり消防防災フェスタ」の開催など、新しい取り組みも行ってきました。広報活動にも多くの団員が楽しそうに参加してくれていて、本当にありがたく感じています。

中野さん:塩尻市では、男性女性団員問わず、訓練や広報活動など、さまざまな形で活躍してくださっています。消防団には多様な役割があり「これなら自分にもできそう」と思ってもらえる活動が、きっとあると思います。

さまざまな団員の活躍によって、消防団は成り立っています
さまざまな団員の活躍によって、消防団は成り立っています

- これからの消防団の姿として、目指しているものはありますか。

中野さん:2026年春からは現在副団長の堀井さんが団長を務められます。今後さらに、地域の方に「消防団がいるから安心だね」と思ってもらえる存在を目指してもらいたいです。もっと「消防団」というキーワードをきっかけに、地域で話題にしてもらえる場をつくっていくことも大切だと思っています。

堀井さん:塩尻をより良くしていけるチームにしていきたいですね。そのためには、伝統ある組織だからこそ「良いものは残す」「今の時代には合わないものは見直す」という視点が必要だと思います。そして新しい考え方や取り組みも柔軟に取り入れていきたいですね。
若い団員からもどんどん意見を出してもらい、先輩方が築き上げてきた消防団の良いところに新しい要素を少しずつ加えながら、次の世代につないでいきたいです。

写真左から次期団長となる副団長の堀井大輔さん、団長の中野清志さん、副団長の小林正幸さん
写真左から次期団長となる副団長の堀井大輔さん、団長の中野清志さん、副団長の小林正幸さん

取材日令和7年11月26日
写真・編集 山田智大
原稿 竹中唯